フグは何故フグ毒で死なないのか

丸っこく、不細工で、怒ると腹を大きく膨らまして威嚇する。

まるでフットボールの様な容姿をしている。

鋭いとがった歯は上に二枚、下顎に二枚あってどんな物もでも噛みちぎり、噛み砕く。四枚の歯を持つ魚の毒と言う意味がテトロドトキシンTTXの由来となっている。

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この四枚はフグに共通している。

泳ぎは遅く、瞬間的に逃げ足が速くても、長く追い掛けられると流線型の魚には到底及ばず、弱肉強食の世界では淘汰される運命になる。

しかし何故フグは長い歴史で生き残ってきたのだろうか。それの1つはフグが持つTTXにある。フグ毒は神経性麻痺の毒で、其れを食べて体内に入ると呼吸系の神経が麻痺をし呼吸困難になり、自力呼吸ができなくなる。呼吸ができないとその固体は死んでしまう結果となる。人も魚も。

しかしフグはこれを利用して生き延びて来た。

真鯛とフグを比較すると約五千倍の開きでフグが強い。余りにも強い毒を注射すると流石にフグも中毒を起こすと言われているが、自発摂取で餌を食べる事で中毒はおきない。反対に五千分の一の量のTTXで真鯛は逝ってしまう。フグはTTXにすこぶる強い抵抗力を持っている。

研究では貝やプランクトン等からTTXを接種し、体内に蓄積しているという。自分で作っているのではないと言うが、それには若干の疑問も抱く。TTXの毒量は同じ種でも個体差が違うが、同じ種では蓄積される部位は一緒だ。ドクサバフグと言う凶悪なのがいる。

1959年10月、北九州市(当時の小倉市)で南シナ海産の冷凍むき身によって中毒事件(死者4名)が発生し、筋肉も有毒なこのフグの存在が明らかになった。和名「ドクサバフグ」は当時鑑定に当った阿部宗明博士の命名である。

ドクサバフグが日本沿岸で発見される様になり、この事件などをきっかけにフグ処理関係の法整備が厳格化されて今日にいたっている。

ドクサバフグの生息海域とトラフグ、マフグ等の多くのフグは同じ海域で生息しているのに、ドクサバフグだけが身にも多くの毒を持つというのが何故なんだろう。

自分で製造できるのか、であれは食物連鎖でなく特定の遺伝子が存在するのではないのか。

この難問が今回のキーワードになっている。

フグはTTXで身を護り、TTXが体内にあると安定して泳いでいる。

昨日研究所のトラフグにTTX溶液を注射した。比較のために同数のトラフグには生理食塩水を注射した。

今朝観察すると、TTXを注射したグループはゆったりと泳いでいる。生理食塩水のグループは人影に驚いて興奮していた。

来週の解剖結果が楽しみだ。

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